5人で暮らすシェアハウスの家事分担の決め方
家事分担のアドバイスは、たいてい2人を想定して書かれています。「早めに話し合いましょう」「お互い柔軟に」。2人暮らしなら、正直それで十分です。ところが5部屋の家に引っ越すと、同じやり方は6週間ほどで崩れます。
5人が2人より怠けているからではありません。5人の家というのは別種の問題であって、2人や3人を支えていた「なんとなくの習慣」は、そのままでは大きくならないのです。何が壊れるのかさえわかっていれば、直すのに必要なのは20分の話し合い1回だけです。
なぜ5人になると仕組みが壊れるのか
責任が薄まること。 2人の家なら、たまったゴミ箱はまぎれもなく半分は自分のものです。5人になると、同じゴミ箱が「自分の問題20パーセント、他人の問題80パーセント」になります。全員が通りすがりに同じ計算を黙ってやり、いちばん散らかりに耐えられない人が限界を迎えるまで、ゴミはそのまま残ります。その人は責任感が強いわけではなく、単にしきい値が低いだけです。そして家は、掃除のスケジュールをその人の神経に外注している状態になります。
共用の散らかりと私物の境界があいまいなこと。 2人ならマグカップの持ち主はだいたい見当がつきます。5人になると、カウンターには持ち主のわからない物が並びます。掃除する人は、自分の仕事が「表面を拭くこと」なのか「他人4人の私物を片付けること」なのかを、その場で判断しなければなりません。どちらなのかを誰も決めていないので、やった人は不満を抱えるか、文句を言われるかのどちらかになります。
暗黙の貸し借りが成立しなくなること。 2人なら、頭の中の帳簿はだいたい合います。追いかける関係がちょうど1つだからです。ごはんを作ってもらったから、洗い物は自分がやろう。5人だと、関係は10組になります。10本の帳簿を同時に持っていられる人はいないので、全員が「自分が貸している分」だけを覚えていて、「自分が借りている分」を忘れます。結果、5人全員が本気で「自分は人より多くやっている」と思い、しかも5人全員に根拠があります。
この規模になると、仕組みは明文化されている必要があります。同居人が信用できないからではありません。記憶が5人ぶんには対応していないからです。
エリア担当と持ち回り、正直に比べる
現実的な選択肢は2つです。そして多くのアドバイスは、片方の欠点を伏せたまま勧めてきます。
エリア担当。 ひとりが特定の場所をずっと受け持ちます。Aさんはキッチン、Bさんは2階の洗面所とトイレ。責任の所在は完璧です。キッチンが汚ければ名前がひとつだけ出てきますし、誰の週だったかで揉めることもありません。手を抜きにくくもなります。結果と一緒に暮らすことになるからです。問題は、エリアがほぼ確実に不均等なことです。5人が使うキッチンは、廊下とは比べものになりません。半年もすると、重いエリアの人は軽いエリアの人の倍働いていて、しかも本人がそれをはっきり自覚しています。固定制は、その不公平さを恒久的に固めてしまいます。
持ち回り。 全員が順番にすべての役割を担当します。重い週と軽い週を分け合うので公平ですし、「浴室がどれだけ汚れるか、あなたは知らないでしょ」という言い争いも消えます。来月には全員が身をもって知るからです。代わりのコストは、いつでも全員が確認できる予定表が必要になることです。誰かが「今週は誰の番だっけ」と迷った瞬間、持ち回りは議論に変わります。
5人なら、両方を使ってください。 手間が重く、不満のたまりやすい役割(キッチン、水まわり、ゴミ)は持ち回りにします。誰かひとりが気にかけていたほうがうまくいくもの、たとえば定期的な事務作業のようなものは固定にします。家の顔ぶれが安定していて、それぞれに強い好みがあるならエリア担当寄りにして、3か月ごとに見直します。過去にひとりへ偏った経験が少しでもあるなら持ち回り寄りにしてください。不公平さを目に見える形にできる仕組みは、持ち回りだけだからです。
5人の家での具体例
枠は5つ、人は5人、毎週入れ替わるので、5週間で全員がすべての役割を一巡します。
| 枠 | 内容 | 頻度 | 週あたりの目安 |
|---|---|---|---|
| 1. キッチン | カウンター、シンク、コンロ、食洗機を回して片付ける、テーブルを拭く | 毎日ひと通り、大掃除は週1回 | 100分 |
| 2. 浴室Aと階段 | 便器、洗面台、浴槽、鏡、床、階段に掃除機 | 週1回、加えて週の半ばに便器を拭く | 70分 |
| 3. 浴室Bと玄関 | 上と同じ、加えて玄関と靴の山 | 週1回 | 65分 |
| 4. ゴミと床 | 収集日に全部のゴミを出す、資源ごみの分別、共用部に掃除機とモップ | ゴミは週2回、床は週1回 | 75分 |
| 5. 買い出しと冷蔵庫 | 共用品の買い出し、冷蔵庫の期限切れ処分、洗濯スペースの整頓 | 週1回 | 60分 |
枠1をキッチンだけにしているのは意図的です。キッチンは他の枠2つぶんくらいの重さがあります。手間で重みづけをするというのは、まさにこういうことです。
実際に効いてくる頻度のルールが3つあります。食洗機は中身の量にかかわらず毎晩回すこと。ゴミは収集日の朝ではなく前夜に出すこと。そして冷蔵庫の整理は、まとめ買いの前日にやること(買ったばかりの食材を捨てずに済みます)。
件数ではなく手間で揃える
「1人4つずつ」は公平に聞こえますが、まず公平ではありません。浴室とゴミ出しは同じではないからです。ここでは交換テストを使います。各自が5つの枠すべてに「どのくらいやりたくないか」を1から5で内緒に採点し、枠ごとに合計します。他より突出して高い枠は詰め込みすぎなので何かを外し、突出して低い枠には何かを足します。時間を測るより有効です。ストップウォッチでは拾えないもの、たとえば「共用トイレを15分掃除するくらいなら40分掃除機をかけたい」という感覚まで拾えるからです。
見直しは3か月ごとにします。誰かが不満を言うたびに、ではありません。毎週交渉し直す仕組みは、もう仕組みではありません。
そのうえで、枠に含まれないことも書き出します。当番がやるのは表面の掃除であって、他人の持ち物の片付けではありません。 共用スペースにある私物は持ち主の担当で、24時間経っても置きっぱなしのものは、本人の部屋のドアの前に出しても攻撃とは見なさない、と決めておきます。これを先に合意しておくだけで、大人数の家の摩擦は半分ほど消えます。
共用品の問題
これは大きな家に特有の話で、しかも静かな不満がいちばんたまりやすい場所です。2人暮らしなら、トイレットペーパーが減っているのに気づいた人が買っておけば、だいたい帳尻が合います。5人になると、ひとりが8か月間ずっと買い続けて、返ってくるのは3分の1くらい、ということが起きます。
うまくいく手順です。
- 家の共用品リストを明文化する。 トイレットペーパー、キッチンペーパー、ゴミ袋、食器用洗剤、食洗機用洗剤、スポンジ、住居用洗剤、浴室用洗剤、ハンドソープ、アルミホイルとラップ。リストにないものは私物で、各自で買います。これで「オーツミルクは共用か」という議論が永久に終わります。
- あとから集めず、先に集める。 月の初めに全員が決まった額を共用の財布に入れます。5人なら、ひとり月2,000円から2,500円くらいが目安で、2か月ぶんの実際のレシートを見て調整します。前払いという点が要です。あとから1人1,000円ちょっとを5人ぶん集めて回るのは、誰もやりたがらない仕事の代表格だからです。
- お金ではなく、買う人を回す。 枠5の担当が買い出しに行き、共用の財布から支払い、レシートを撮ってグループチャットに送る。それで終わりです。
- 切れたものリストを常に更新する。 何かを使い切った人は、その場でキッチンに立ったまま共有メモに書きます。「あとで言っておく」ではありません。この習慣ひとつが、残りの仕組みを支えます。
誰かが参加しないとき
この順番で進めてください。途中を飛ばさないことが大事です。
1. 悪意ではなく段取りの問題だと考える。 みんなの前ではなく、ひとりのときに、具体的に話します。「先週の浴室の枠、たぶん手が回らなかったよね。タイミングが合わない感じ? それともその枠が特にきつい?」思っている以上に、これで解決します。本当にただ土曜が仕事だった、という場合が実際にあるからです。
2. 催促は仕組みに任せる。 同居人から追い立てられて気分がいい人はいませんが、自分の名前がついた未完了のタスクが目に見える場所に残っていると、ほとんどの人は動きます。あなたがリマインダー役になった瞬間、あなたは無給の仕事を引き受け、相手は自分で把握するのをやめます。それが、ひとりだけが掃除している人になっていく流れです。
3. 同じお願いを繰り返さず、条件を変える。 特定の枠だけ確実に落とす人がいるなら、交換します。浴室に一切触らなくていいなら、キッチンを倍の頻度でやってもいい、という人はけっこういます。守られない原則より、実際に片付く交換のほうが価値があります。
4. 労力をお金に変換する。 それでもやらないなら、隔週のハウスクリーニングに多めに負担してもらい、他の全員は今の枠を続ける、という提案をします。5部屋の家の共用部だけなら、1回8,000円から12,000円程度が相場です。負担割合を変えるこの形は、罰ではなく現実的な解決策ですし、喜んで受ける人もいます。
5. 強制力については現実的でいる。 あなたは同居人であって、管理者ではありません。大人に浴室を掃除させることはできません。できるのは、その人のぶんを肩代わりするのをやめること、水掛け論にならないよう記録を残しておくこと、そして契約更新のときにそれを判断材料として扱うことです。実際のてこは契約であり、多くの人はそれを過小評価して、1年間言い争いに費やしてしまいます。
20分の設定ミーティング
一度だけ、全員が同じ場所にいて、スマートフォンは伏せた状態でやります。20分です。そして、日頃の不満をぶつける会ではありません。
- 0分から4分。 今実際に摩擦の原因になっている家事だけを挙げます。理想の家事は入れません。1年間誰も幅木を拭いていないなら、それはリストに載せません。
- 4分から8分。 共用の散らかりと私物の境界を書き出します。24時間ルールも含めます。
- 8分から13分。 5つの枠を作り、交換テストで手間を揃えます。
- 13分から16分。 共用品リスト、毎月の金額、財布の置き場所を決めます。
- 16分から20分。 未実施のときのルール(日曜の夜までに終わっていなかったらどうするか)と、予定表の置き場所を決めます。
そのうえで、4週間後に15分の確認を予定に入れてください。この1回のフォローアップこそが、仕組みを続けられる家と、一度いい話し合いをしただけの家を分けます。
この規模で冷蔵庫の貼り紙が効かない理由
紙の分担表は2人なら機能して、5人だと機能しません。理由ははっきり言葉にする価値があります。その情報が必要になった瞬間、誰も冷蔵庫の前に立っていないからです。
自分の家事をやるかどうかを考えるのは、帰りのバスの中、夜11時のベッドの中、あるいは土曜の朝に予定を立てる前です。そのどの瞬間にも、表は別の部屋にあります。そして確認しに行くコストがちょうど微妙に高いので、人は確認せずに推測します。5人が推測すると、「今週は誰の番か」について微妙に違う5つの認識が生まれ、そのすべてが本気で信じられています。さらに紙には履歴がないので、先週の火曜についての言い争いは決着しません。通知もないので、もともと覚えていた人にしか効きません。そして毎月誰かが書き直す必要があり、その見えない6つめの家事は、毎回同じ人のところに落ちます。
5人に必要なのは、5台のスマートフォンに同じリストがあって、全員のぶんが同時に更新される状態です。何を使うにせよ、今この瞬間の担当が誰かを示せること、いつ何をやったかの記録が残ること、そして同居人にやらせるのではなく担当者本人に直接リマインドできることが条件になります。
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