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掃除をするのはいつも自分だけ、という状態から抜け出す方法

同じ立場になったことのない人には説明しづらい種類の疲れが、たまっているはずです。こすって磨くこと自体はしんどくありません。それは20分で終わります。しんどいのは、何をやらなければいけないかの全体像を持っているのが家の中で自分だけで、起きているあいだずっとそれを持ち続けていて、しかもそれを持っていることに誰も気づいていない、ということです。

自分が部屋を通ると、やることが9つ見えます。他の人が同じ部屋を通っても、見えるのは部屋だけです。

まず、ひとつだけ自分にはっきりさせておいてください。基準を保つのは、れっきとした労働です。ただし目に見えるものを何も生まない種類の労働で、だからこそ他の全員が素通りしていきます。あなたは神経質なのではありません。「こだわりが強い」わけでもありません。この家のオペレーティングシステムを、頭の中で、ひとりで動かしているのです。それは重いに決まっています。

掃除をしているのが自分だけなのではなく、気づいているのが自分だけなのです

人にはそれぞれ、散らかりが背景から「やらなきゃいけないこと」に変わる境目があります。この境目は本当に人によって違います。シンクに皿が2枚で気になる人もいれば、12枚でやっと気になる人もいます。この差は、どちらが人として優れているかという話ではありません。

ただ、この差は次のことを引き起こします。境目がいちばん低い人が必ず先にたどり着くので、他の人の境目に届く前に散らかりは消えてしまいます。それが何か月も何年も続くうちに、家の他の人たちは気づく機会そのものを与えられず、やがて気づく能力を完全に失います。食器は勝手に片づくもの。トイレットペーパーは、ただいつでもそこにあるもの。自分が先にたどり着くたびに、「他の誰も見なくていい」ということを、家にもう一度教え込んでいることになります。

これは相手を擁護する話ではありません。3年住んでいて、浴室を最後に掃除したのはいつだろうと一度も思ったことがない大人は、無罪ではありません。それでも、切り出し方は決定的に重要です。「怠けている」という前提で話し始めると、身構えた相手が、自分がやっていることを1時間かけて並べ立てるだけになります。「気づく力の差」の話として始めれば、たいていの人は自分のことだと本当に納得できます。それが、けんかで終わるか、実際に変わるかの分かれ目です。

相手が気づくのを待っても変わりません

ほとんどの人が一度はストライキを試します。手を止めて、1週間シンクをためて、思い知らせようとするやつです。

これは2通りの形で失敗します。ひとつは、相手が本当にこちらの段階では気づかない場合。相手の境目に届くまで何も起きず、その境目ははるか先かもしれないのに、そのあいだずっとその家に住んでいるのは自分でもあります。もうひとつは、気づいてはいるけれど、その山を「散らかり」ではなく「自分に向けられたメッセージ」として読む場合。こうなると論点はキッチンではなく自分になり、意地の張り合いが始まります。ストライキは問題を示すことはできますが、代わりの仕組みは何ひとつ作りません。

モヤモヤしながら自分でやってしまうのが、いちばんの罠です

やり続けてしまう正直な理由は、そのほうが速いからです。頼めば、会話が要り、待ち時間が要り、確認が要り、ときにはやり直しまで要ります。自分でやれば20分です。その場その場では、自分でやるのが合理的な選択です。だからこそ役割は固まっていきます。局所的に正しい判断を何百回も重ねた合計が、抜け出せない役どころになるのです。

たまったモヤモヤは、それ自体が別の被害を生みます。はっきりしたお願いに変換されなかった不満はただ積もっていき、機嫌の悪い火曜日に、マグカップ1個をきっかけに横から噴き出します。マグカップは理由ではありません。でも理由に見えてしまい、そのせいで「大げさに怒っただけ」として全体が片づけられます。自分でも、そう思ってしまいます。

つまり出口は、もっとやることでも、当てつけに手を抜くことでもありません。「気づく役」を移すことです。

実際に事態を動かす話し合い

掃除をしながら、掃除を終えた直後、どちらかが怒っているとき。この3つのタイミングでは絶対に話さないでください。この話し合いは、爆発ではなく、退屈で予定されたものであるべきです。前もって一文で予告します。「日曜の午前中に30分だけ、家のことの回し方について話す時間もらえない? けんかしたいわけじゃなくて、ちょっと変えたいことがあるだけだから」。この一文が、かなりの仕事をします。不意打ちにならないので、最初の10分を相手の自己弁護に使わずに済むからです。

切り出しは、公平さの話ではなく、気づく力の話から入ります。

「怠けてるとは思ってないの。ただ、わたしのほうが先に気づいちゃうから、いつも先に手が出るんだよね。で、わたしが毎回先にやるから、そっちは考えなくてよくなる。それがわたしにはしんどい。わざとそうしたわけじゃないのは分かってるよ。がんばり方を変えてほしいんじゃなくて、分け方を変えたいの」

これが効くのは、事実だからであり、実際の仕組みを言い当てているからであり、そして「自分は悪い人間だ」と認めなくても同意できる逃げ道を相手に残しているからです。されていない告発に対して、わざわざ弁明する人はほとんどいません。

2つのことは話に入れないでください。**「いつもやってくれない」と「全部わたしがやってる」**は、どちらも反例を呼び込みます。相手は自分がやっている2つのことを見つけてきて、そこを争点にしてきます。これまでの回数の集計は、話を勝ち負けの点数表に変えます。それは相手に「負けろ」と要求することであり、それに同意する人はいません。

ほしいものは、家事のリストではなく結果として伝えます。つまり、何をやるべきかを知っている唯一の人間であることを、やめたいのです。

「言ってくれればやるよ」と言われたら

これはいちばんよく返ってくる言葉で、たいていは本心から言っていて、そしてまさに自分が抜け出したいものです。この言葉は、自分を管理職の位置に固定します。リストを持ち、気づき、割り振り、その後を追い、「あとでやる」と言われたらそれも飲み込む。自分を消耗させているのは、その仕事です。掃除は最初から、重いほうの半分ではありませんでした。

これは口に出して言ってください。外からは絶対に見えない部分だからです。

「その『言う』ところを渡したいんだよね。わたしが言わないと動かないなら、結局わたしが全部把握してることになるでしょ。その把握してるのがいちばん疲れるの。仕事を振りたいんじゃなくて、いくつかは本当にそっちのものにしてほしい。わたしが二度と考えなくていいように」

もしお願いすることが、すでに何度も言い続ける状態に変わってしまっているなら、それには別の対処法があります。もう一度話す前に、何度も言わなくても家事をしてもらう方法を読んでおく価値があります。

1週間、見えない家事を書き出す

分ける前に、まず負担を見えるようにします。1週間、家のためにやったことを、見えない半分も含めて全部書き出してください。

これは言い争いに勝つためではなく、説明されたことのない仕事は分けようがないからです。相手に見えているのは「よく片づけている人」という姿だけです。2つ目の列があることを、相手は知りません。コツは、やったことだけでなく、考えたことを記録することです。

相手に見えていること見えていない半分
食器用洗剤を買うなくなる前に残りが少ないと気づき、次に店に行くまでそれを覚えておくこと
夕食を作る何を作るか決めること、傷む前に使い切るものを把握していること、今日は誰が家にいるかを知っていること
洗濯をするシーツとタオルを最後に替えたのがいつかを覚えていること
浴室を掃除する前回から11日たっていること、そしてバスマットもそろそろ替えどきだと分かっていること
ゴミを出すどのゴミを何曜の夜に出すかを、毎週、ずっと覚えていること
学校と子どものこと提出物、遠足のお金、靴がもう半サイズ小さいこと

淡々と、事実だけを書きます。「水曜:トイレットペーパーが残り2ロールなのに気づいて、リストに追加」と書き、「水曜:また気づくのはわたしだけだった」とは書かないことです。感想を入れると、そこが反論の的になります。このリストは、退屈であればあるほど強くなります。

見せるときは、告発の色を先に抜いておきます。「責めるために見せてるんじゃないからね。左の列は、見れば分かること。右の列が、わたしがひとりで持つのをやめたい部分」

多くの家庭では、ここで初めて相手に届きます。話し合いではなく、このリストで届くのです。

渡すのは「作業」ではなく「領域」

作業で分けると(「食器は火曜と木曜ね」のように)、出発点とまったく同じ場所に残ります。やったかどうかを追いかけているのは、結局自分だからです。領域で分けると、考える部分ごと移ります。

領域の担当とは、ひとつの区画を丸ごと持つということです。いつやるべきかを判断し、消耗品を切らさず、基準を保つところまで含みます。たとえば、こんな分け方になります。

  • キッチン。 食器、調理台、冷蔵庫の整理、洗剤やゴミ袋の残りに気づくこと。
  • 浴室とトイレ。 掃除に加えて、トイレットペーパー、シャンプー、きれいなタオルの補充。
  • 洗濯。 洗濯かごから畳み終わるまで。シーツとタオルの交換時期を把握することも含めて。
  • ゴミと資源ごみ。 言われなくても収集日を把握することを含めて。
  • 食料。 献立、買い物リスト、買い出し、しまうところまで。

2つか3つの領域を丸ごと渡します。全部でもなく、1つでもありません。1つだけだと「こちらへの好意でやってあげていること」として扱われやすいからです。そして境界線を、はっきり言葉にします。「浴室は今日からそっちの担当ね。わたしはもう聞かないし、見にも行かないから」。そして本当に見に行かないこと。ここが難しいところで、次の章の話でもあります。

3人以上で暮らしているなら、固定の領域より、月ごとに担当が回るほうが長持ちします。ローテーションの作り方が、人数の多い家でも生き残る形です。

途中で、基準を下げることになります

引き継ぎが失敗するのはここなので、自分に対して率直になっておいてください。

浴室は7日目ではなく12日目に掃除されます。タオルは違う畳み方で戻ってきます。自分なら絶対にそのままにしない冷蔵庫の棚が生まれます。ここで手を出したり、あとからこっそりやり直したり、ひと言つけ加えたりすれば、担当はその瞬間に自分のところへ戻ります。そして「やろうとしても無駄だ」と相手に教えたことになります。

自分の基準のうち、どれが本当に必要で、どれが好みなのかを、先に決めておきましょう。

  • 本当に必要なもの: 食品の衛生、虫がわくもの、カビ、アレルギー、住まいを傷めるもの。
  • 好みの問題: 衛生に必要な範囲を超えた頻度、やり方、畳み方、棚の並び順、クッションの向きが揃っているかどうか。

使えるルールはこれです。結果が衛生的である限り、相手の頻度と相手のやり方は「あり」とする。 気になるけれど不衛生ではないなら、それは好みの問題であり、そこにこだわると仕事が丸ごと自分に戻ってきます。

判断するのは6週間から8週間たってからにして、途中で一度だけ短く様子を話す機会を持ちます。最初の数週間は、自分が全部やっていたころより本当にひどくなります。それは失敗ではなく、自分でも気づかないまま何年もかけて身につけた技術を、相手に移すためのコストです。

これも口に出して言っておいてください。「たぶんわたし、言わなくていいことをつい口にしちゃうと思う。そのときは遠慮なく言って」。これは相手に線を守る権利を渡すことになりますし、そわそわし始める2週目の自分を、正直な状態に保ってくれます。

それでも何も変わらなかったら

ちゃんと試したというのは、落ち着いた話し合いを一度し、見えない家事を1週間書き出して見せ、2つか3つの領域をはっきり渡し、途中で一度話しながら6週間から8週間待った、ということです。そこまでやってなお気づいているのが自分だけなら、それはもう疑いではなく、確かな情報です。ここからは、外からはそっくりに見える2つのまったく違う状況があります。

今はできない。 赤ちゃんが生まれたばかり、夜勤、気分の落ち込み、仕事の地獄のような時期。これは実在しますし、たいていは一時的で、黙って引き受けるのではなく、終わりの時期を決めた明確な再交渉に値します。「3月まではキッチンをわたしが持つ。そのあとはそっちに戻す」は計画です。誰もそれを言葉にしないまま無期限に背負うことが、一時的なものを恒久的なものに変えます。

やる気がない状態が続いている。 同意はしたのに、その後何も起きなかった。同意が仕事の始まりではなく、会話の終わらせ方になっている場合です。ここまで来ると、もう掃除の話ではありません。この人に自分の必要なことを伝えて、何かが変わるのかどうかという、はるかに大きな問いです。

その答えをどうすべきかまでは、わたしからは言いません。ルームメイト、パートナー、家族ではそれぞれ状況も出口も違いますし、自分の状況をいちばん分かっているのは自分です。ただ、名前をつけるのが怖いという理由で、それをまた2年放置するのはやめてください。2回目の話し合いは短くて構いません。「3月に決めたよね。でも実際には変わらなかった。これから変わるのかどうか、はっきり知りたい。平気なふりをしたまま続けるのは、もう無理だから」

どちらを選ぶにしても、モヤモヤを抱えたまま黙って飲み込むことだけはしないでください。自分がやり続けると決めるなら、本当に自分で選び、そのうえで帳簿を閉じてください。不満をためたまま従うことは、家事そのものよりずっと高くつきます。

本当に目指しているもの

目標は、相手がもっと掃除をすることではありませんでした。相手が気づくようになることです。話し合いも、リストも、領域分けも、手を引くことも、そのすべては、気づく役を自分の頭の中から、家じゅうの誰もが見える場所へ移すために存在しています。

これは、リストが自分の記憶の中に入っていない状態になると、ずっと楽になります。Taskeon は、家の共有リストと担当者、繰り返しの家事を全員のスマートフォンに置いておくので、リマインドは自分からではなくアプリから届きます。iPhone と Android に対応していて、無料で始められます。